一つ また一つと増えていった


沢山の思い出 写真









memory













「そろそろ、帰ろうか。」

「・・うん。」


恥ずかしがりな私たちは 手をつなぐ事さえもぎこちなくて 皆に冷やかされて 顔を真っ赤にした、あの日。

「じゃぁ、撮るよー?ハイッチーズ!!」




たくさんの友達は皆 明るくて、優しくて・・・素敵な人たち。

初めて子供だけで行った旅行の記念写真を 皆で撮った、あの日。




「ファイトー!」

「頑張って!!あと少し!」

「・・・やったぁ!!」




転んでも立ち上がって 自分の限界まで走って 勝利を手にして 皆で泣いた、あの日。








「馬鹿!」

「馬鹿はそっちでしょ!?」

「あんたなんか、だいっ嫌い!!!」


大好きな友達との喧嘩。

大声でわめいて大泣きしたっけ。




あの後・・・そうだ 確かあの後。

他の友達が奢ってくれたクレープが あまりにも美味しくて。

お互い顔を見合わせて 自然と笑みがこぼれたから 仲直りできたんだっけ。












「何見てるの?」

隣にいた友達が聞く。

「ん?今年一年で撮った写真。」

「あ、何これ。あんたの顔変なのー。」


ケラケラと笑う、友達。

その笑い声を聞いて他の友達も集まってきた。


「あ、ホントだ。」

「って、これ撮ったのあたしじゃん。」

「この旅行、楽しかったよねー。」

「うん、また行きたいね。」




みんなで写真を見て思い出話に花を咲かせる。

こういう風に喋ってるときが一番好きだ。




「そーいや、皆で怒られた事もあったよね。」

「あー、あれでしょ?誰かさんが鶏のえさと肥料を間違えて花壇に餌ばら撒いたの。」



一人がくすくすと笑って私の方を向いた。

仕方ないじゃない、気づかなかったのよ。



「あの後すずめとかいろんな鳥が寄って来てせっかくの花壇、めちゃくちゃになったんだよね・・」

「もう、私だってちゃんと反省してるんだからね!」

と、私が少し拗ねてると ごめん、ごめんって友達が頭を撫でた。

「ねぇ、あの後彼とはどうなってるの??」




一人の友達が私に聞く。

私の顔は真っ赤。



「・・ど、どうもしてないよ・・!!」

「へぇー?」

と意味深な声を出す私の友達。



「あ、これ見て!!」

話をそらすように友達に渡した一枚の写真。

「あ、運動会の写真。」

「へー、綺麗に撮れてんじゃん。」


その声を聞いて、クラスの人が集まりだす。





「どれどれ・・・皆泣いてんじゃん。恥ずかしー!」

「うわ、先生まで泣いてる。」

「・・ホントだ。なぁ、俺にもそれ焼き増ししてよ。」

「あ、あたしも欲しい〜!」


皆が口々に私に言うもんだから 私はくすくすと笑って言った。


「いいよ。じゃぁ、焼き増ししたら家におくるね。」


「おーい、もうすぐ出るぞー。」

担任の先生がクラスの皆を呼ぶ。








今日は卒業式。

このクラスの人たちと過ごせるのも、今日が最後。



この日を境に 皆は自分自身の道を進んでいく。

私ももちろんその一人で 将来の夢に近づくために一歩ずつ進んでいくのだ。



また一つ、一つと増えていく 沢山の写真と思い出。

今までに会えた人たちとの出会いを すべて忘れずに 一歩一歩 私は生きていきたい。








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鈴さんから頂きました。感動vv

本当に、ありがとうございました。